ジャンブイはロシアの野生で生まれたホッキョクグマ。推定1991年生まれで、1999年12月25日からズーラシアで暮らし、長年にわたって多くの人々に愛され、2022年12月14日にこの世から旅立っていきました。私が出会ったころにはすでに晩年を迎えていたのですが、まるみのある大きくて立派なからだに、くりんとしたきれいな瞳と、お鼻の上のVマーク、優しくておおらかで、時にはちょっぴりお茶目...私はジャンブイのことが大好きになりました。
最後の年にも、お庭のお散歩を欠かさなかったジャンブイ。4月にはまさかの滝壺への飛び込みも!ふかふかのウッドチップの上で横になってのんびりしたり、いつもの水中を気持ちよさそうに泳いだり、目を細めながら小枝をうれしそうに齧ったり。ジャンブイと、ジャンブイを眺めるひとたちの間に流れる、穏やかな時間。ジャンブイのさりげない優しさは、傍で暮らすホッキョクグマにも、ひとにも、たぶんジャンブイからお魚をかっさらっていたカラスにも届いていたような、そんな気がします。
開園後、早歩きでホッキョクグマ舎に向かい、のんびりしているジャンブイに出会えたときのよろこびはいまでも鮮やかによみがえります。ジャンブイが残してくれた思い出はどれもみな、優しいものでした。